井上弘久/朗読演劇 「押絵と旅する男」
終了いたしました。
皆さまのご来場、誠にありがとうございました。
2016年2月13日[土] start 18:00
2016年2月14日[日] start 15:00
朗読:井上弘久
美術:日野まき
演出:今野裕一
料金:前売・予約 2000円/当日 2500円
□各日開演時間の15分前からご入場いただけます。
□イベントの料金には展覧会入場料が含まれます。
□イベントの日程・料金・内容は変更になる可能性もございます。
押絵を旅する男
演劇では、フェード・イン、フェード・アウトで場面を転換するが、乱歩はフォーカス・イン、フォーカス・アウトで切り替える。
中学生の頃、乱歩は憂鬱症で(本人筆)二階の一間に閉じこもっていた。雨戸の節穴から差し込んだ光が、反射して天井に巨大な薄ぼんやりとしたモヤモヤとなって蠢めいた。実は、それがレンズの作用で畳にあたった光が畳の目を数百倍に拡大してできたものだっだと分かったのだが、もやもやしていた幻想的なものが、何かと分かるその瞬間、フォーカスが合う瞬間に乱歩の小説は生まれる。
「押絵を旅する男」は、魚津に蜃気楼を見にきた男の車内譚になっている。蜃気楼、遠眼鏡…「レンズ嗜好性」があると自ら言う乱歩らしさが最も良く発揮されている作品だ。
乱歩の小説を演劇仕立てで読むのは、そんなにたやすくはない。視点が飛び、時に乱歩自身まで登場するからだ。地の文からふっと登場人物の一人称になり、また人称が変わる。そのフォーカスのイン、アウトの巧みも今回の見どころの一つだ。
日野まきが今回の上演のために押絵の作品を作ってくれた。上演の小道具ではなく全体を俯瞰する美術作品になっている。押絵に命が吹き込まれる瞬間にぜひ立ち会っていただきたい。
今野裕一
■会場 parabolica-bis[パラボリカ・ビス]
■東京都台東区柳橋2-18-11 ■TEL: 03-5835-1180 map
プロフィール
井上弘久[ いのうえ・ひろひさ ]
朗読演劇家、俳優、演出家。1952年 東京生まれ。
1979ー88年 太田省吾主宰の転形劇場に所属。
「水の駅」「小町風伝」「→(やじるし)」など出演。1990ー11年 演劇集団Uフィールドを主宰。
「孤独な老婦人に気をつけて」(マティ・ヴィスニユック)、「女中たち」(ジャン・ジュネ)、「太田省吾の世界」など演出。
冒頭から最後の一行まで、地の文も会話もすべてセリフと化してしまう、朗読演劇という表現スタイルを確立し、
2014年 チャールズ・ブコウスキー没後20年連続企画 朗読演劇『町いちばんの美女』。 金子雄生、中原昌也、大谷能生、齋藤ネコらと共演。
2015年4月、今野裕一演出のもと、カフカ「変身」に挑戦し、約3万字を暗唱する驚異の一人劇を見事に演じきった。
2015年6月、ブコウスキー朗読演劇「町でいちばんの美女 2015」。
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同時期開催
・駕籠真太郎/「奇想大全」 2016年1月15日[金]~2月15日[月]
・LittleCreatures展「かみのいきもの」 2016年2月5日[金]〜2月29日[月]