佐久間友香 Yuka Sakuma
「目を閉じて眠るまで」佐久間友香
古民家で人形展をしていたときに、会場を訪れた若い観客のグループが、ちょっとした危機を救ってくれた。その1人から展覧会の案内をもらい、興味深いので絵を見に行った。そこからの縁でビスで展示が始った。
ビスの会場で打ち合わせをしていたら、展示してあった山本直彰の(夜想に100枚のカフカモチーフを描いてくれた作家)の授業を受けて薫陶を受けたと。
山本直彰に佐久間友香の作品評を求めたら、それはそれは面白かった。(内容は別の機会に)日本画が面白いのか、山本直彰が面白いのか、凄いのか。線のこと色のこと。僕の知識はウィーン帰りの混合技法だが(セミナー合宿を主宰して体験した)それとはまた異なるものだったというか、絵をもう一度考え直さないといけない重要な話だった。佐久間友香は、その山本直彰の姿勢を受け継ごうとしている。
今の世の中によくあることだが、画家は売れる絵を描けと言われる。造形作家もそうらしい。こういう絵を描けと言われて絵を描いている作家もいる。先日、亡くなられたK画伯ですら、売れる絵を言われて短冊を描かされているのを目撃したことがある。ビスでは、それは言わない。良い絵を、ユニークな絵をと。
佐久間友香は、描きたい絵をビスに向けて描いている。そしてチャームがある。
10年ほど前に、創作人形の世界に再び本格的に入ったのと一緒で、また絵画に復帰する10年がはじまるのかもしれない。
(今野裕一)
描かれている少女は、花は、リアルな、見えているものと近ければ近いほど、擦れ違って幻影を起こす。
絵はそもそもに形のないものを描いているのだから、その作用をもつものが絵画なのだろう。
「夜想 物語の中の少女Ⅱ」2015年9月5日[土]~ 9月28日[月]
出品作品
「夢は夢のままで」2015 455×530mm 麻紙に岩絵の具、墨