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カフカがまた何かをくれる。藤本由紀夫そして

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カフカは読む度にまた新たなよみ方と発見があり、そのことがまた創造を生み出す。夜想で、
作家それぞれのよみ方が深く面白い。自分が読んで、他の方が読んで、あっ、と発見があったり。楽しい。藤本由紀夫さんが「こま」と「流刑地」の作品でビスに登場。

「こま」は新潮社版の全集でしか読めない(たぶん)けれど、今度、多和田葉子さんがまとめた、ポケットマスターピースシリーズのカフカに収録されている。解説でも、早速に多和田さんは、「こま」について言及している。
回転するものを動きをとめずに「つかむ」にはどうすればよいのか。そう書いている。答えを藤本さんが見せてくれている。回転しながらしっかりとめている。必見!

ビスの藤本由紀夫展「処刑機械そして独楽」は、カフカ二題の展示、まさに回転をとめずに独楽をつかんでいる作品だ。

多和田さんはこうも書いている。

カフカの作品は常にいろいろな読み方ができるが、複数の解釈がお盆に載せられて「どうぞお好きなものを食べてください」と読者に差し出されるわけではない。熟読していると、奥から線が何本も浮かび上がってきて一つの像を結ぶのだ。(多和田葉子)

作家たちの熟読は興味深い。まさに意外なところから線を浮かび上がらせて、鮮やかに見せてくれる。