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日野まき Maki Hino

[人形感覚]
ペーパードールは、紙の着せ替え人形、人形と言いながら絵であり平面。
日野まきのペーパードールは、描かれた絵自体に奥行きがあり、
背景との間に影があり、紙でありながら立体感覚をもっている。
だから圧倒的に人形性がある。
そして関節が動く人形もある。意外なところに可動部分がある。
球体関節ではないが、それを作っていた人形感覚がペーパードールにも生きている。(今野裕一)




セーラー服——少年と少女の風景


「長い長い手紙」
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「夜ゆくこども」
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乱歩頌


「江戸川乱歩 押絵と旅する男」 →OnlineShop
■作品サイズ:約 幅416mm/縦565mm/奥行き56mm



「江戸川乱歩 人でなしの恋」 →OnlineShop
■作品サイズ:約 幅565mm/縦416mm/奥行き56mm

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人形の出てくる乱歩の小説。「押絵と旅する男」「人でなしの恋」は、乱歩の短篇でも相当に好きな作品。乱歩に上手になどというと大変失礼だが、上手に人形を使っている。その二作を日野さんにお願いして日野さんの作品にしてもらった。「押絵と旅する男」は、井上弘久朗読で使われた。

朗読に立ち会って、何度も何度も読んだり、読まれているのを聴いたりすると、発見がたくさんあって面白い。それでも選択肢が増えるというよりは、方向が定まる感じで、そこに舞台美術にもなる人形が加わると、朗読の深みや軽さの作り方に変化がある。朗読化はしていないが、パラボリカ・ビスの会場に日野まきの「人でなしの恋」が追加で展示になった。

記憶のトリガーが引かれた。

身体の中からね、蝶が飛びだしてくんですよ。どんどん、どんどん飛び出していくんですよ。 大野一雄が母親の死を語ってくれたことがあってその語り口が甦った。
日野まきが、ここで描いているのは、夫と人形の道行を目の当たりにしたときの身体感覚。身体から蝶が飛びだしていく。どんどん空虚が増していき、私の瞳は虚ろになる。でも髪の毛が未練のように宙を漂っている。まきの凄いのは、「私」が壊した人形ではなく、「私」の虚空を描いたことだ。

見れば、私に叩きひりがれて、半ば残った人形の唇から、さも人形自身が血を吐いたかのように、血潮の飛翔が一しずく、その首を抱いた夫の腕の上へタラリと垂れて、そして人形は……「人でなしの恋」江戸川乱歩。

乱歩の人形は生きている。人形のまま生きている。人のように生きる、人のアナロージではなく、人形として生きている。それは「押絵と旅する男」でも。日野まきは乱歩の人形を捕らえている。
(今野裕一)






フランツ・カフカ

一輪車の少年、空中ブランコの少年、カフカの好きだったサーカス。


Kavka a Kafka (少年)
■作品サイズ:約 横130mm/縦300mm
★肩、肘、股、膝は関節状になっているので、動かせます。
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「Kavka a Kafka box」
■作品サイズ:約 縦400mm/横310mm/厚さ35mm
■素材:アクリル絵の具、鋲、厚紙
■少年は箱から取り外し、ポーズを変えることが出来ます。
→onlineshop


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人の形、だから人形。球体関節をもっているだけが人形ではない。

日野まきがカフカをモチーフに作品を作った。少年はカフカ。カフカは少年。書かれているけど、書かれていない少年のカフカ。

映画を見て、サーカスに心驚かせる少年。女性にもてる片鱗はあるのか。少年は、将来、書くことに執着する指をもっているのだが、手を開いて見せてくれないか。

大きな壁面を一枚の絵のように、パノラマのシーンのようにして人や鳥や木や水や、サーカスの小屋や、空中ブランコや、少年や、カラスが、配置される。少年が天国への階段をあがっていく。カフカ少年、君は君の未来を知っているのか。(今野裕一)




夜想 物語の中の少女 Ⅱ


「壜の中の鳥」(開いた状態)

「壜の中の鳥」(閉じた状態)



「秘密の花園」
■作品サイズ:約 縦323mm/横323mm/奥行き52mm
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ふと、誰かがこちらを見ているような気配を感じ、
それは少女なのかと、顔を覗き込んでみるけれど、彼女はそんなそぶりを見せない。
少女は、空に水に木々に、魚に鳥に…身体を同化させて穏やかな貌のままにいる。

少女のまわりで、風のように漣のようなひそひそ声が聞こえる。
その普通には聞こえない声を少女は聞いている。
髪の毛が、スカートが、手が、指が、腕が、声に応える。

日野まきが物語の少女を人形にするとき、
それは言葉の向こうにある聞こえない声を形にしているのだ。(今野裕一)






★パラボリカ・ビスでは、日野まきさんの作品を販売しております。
お求めは、会場またはOnlineShopまで。





日野 まき Maki Hino

長野県に生まれる。
1993年よりエコール・ド・シモンにて人形制作を開始。
1997年よりピグマリオン人形教室にて吉田良氏に学ぶ。

現在は貝殻を使った人形や、アクリル画を使用したpaper dollを制作。
立体でも平面でも人の形にこだわった作品を制作していきたい。



日野まき HP kitchen
http://makihino.org