中村美梢「冬の金魚展」
最近、器があると中村美梢さんに花活けを依頼する。中村さんに添花を教わった。器を立たせるために活ける。
舞台美術のことを思った。舞台専門でない美術家と舞台をやる時に、主張が強くて、舞台の俳優や台本が身動きつかなくなることがある。主張は美術のルールでやってくる。どうもかみ合わない。コミュニケーションしても、役者や演出に力がないからだなんて言ったりする。そういうのと違うんだなとよく思う。我慢したり引いたりじゃなくて、空間と台本を感じれば良いのに。
中村美梢の添え感覚は、器のちょっと気づきにくい魅力を、華でふっと知らせてくれたりする。そして華もとてもふさわしく生きている。全力を出しても空間や器を壊さない、そんなでしゃばり方があったら楽しいなと思っている。
中村美梢さんには、その素養が生まれつきあるような気がする。えっ、これは入らないでしょう茶室に、というものが入ったりする。入って空間も花も違う貌になる。
今回は、私の相変らずで、一週間もない期間で作品を作ってもらった。勢いが逆に静けさになっている。水の底の金魚と、銀河の星の金魚とでも言うところだろうか。掛物そのものを花のようにして壁に掛けた。楽しい。だって前後上下を入れ換えたりしていいんですから。
(今野裕一)
中村美梢「壁掛」onlineshop→
「冬の金魚展」
2017年1月7日[土]〜1月30日[月]
■月~金/13:00~20:00 土日祝/12:00~19:00
■入場料:500円(開催中の展覧会共通)
■会場:parabolica-bis(パラボリカ・ビス)
住所:東京都台東区柳橋2-18-11 map
電話:03-5835-1180
アクセス:
「浅草橋」駅JR東口・徒歩6分/都営浅草線A6出口・徒歩4分
駅から:江戸通りを浅草方面に進み境耘閣の角を右折。2本目の道を左、1本目の道を右に入る。