pickup

rss

    news

  • editor's talk

夜想#ドール

ポーランド

DSC09164.jpg
キェシロフスキの映画には

聞えない声、
聞えない音が
ふっと彼女をとらえる瞬間があって
その不思議な一瞬が吹く風のように、止まる時のように
思える、
まだ思える自分の感性を確認するために
見続けるときがある。

ポーランドから連絡が入って
人形展をコーディネートすることになった。

ポーランドのディレクターと作家のアトリエを巡っている。
ふと交わした会話の向こうに

聞えない声がする。
ヒットラーユーゲントの愛した
美しい身体は
美しくない肉体を滅ぼそうとした。
とすると
滅ぼされた国に
美しい身体の人形はふさわしくないと、

その先に
ある
感覚。
それを見たい。


update2009/08/28

夜想#ドール

堀佳子の最後の話

DSC07607.jpg
9月23日、展覧会最終日

今日から、堀佳子さん名前を変える。
最後の日。

トークショウは雑誌『S』の天野さんと堀さん

ポイントができると
そこから人形が立ち上がっていく。

そういうでき上がり方も
ある、んだ。あるなぁ…。

今は作っている最中、作っていることに記憶はない。
そうだろうなぁ。


++
対談が終わって
人形作家志望の子が天野さんをつかまえていろいろ言っている。声が切れ切れに聞えてくる。
球体関節人形の流行はもう終わっていますよね。
…どうしたら…良いか。

+++
原稿料の為に書いているなんて言わなきゃ良いのに…。
贅沢生活のイメージが…。
ところで本を出すのはどうやって売り込んだら良いんですか?
あんなどうしようもない人のがでて、どうして私のが出せないんですか?

+
小説家の言葉は生活の本音ではないだろう。妄想を突っ走りながら、ふっと、客観のような視点をさくっと入れ、そしてまた妄想に入っていく。
妄想には、ある種の起きるトーンとうねりがあり、現実から紙一重のところから離陸する。
トーンと起きるパターンの固有性が作家性でもある。

どう売り込み、どう作家になるかじゃなくて
作品をどう生み出すか…
それも越えて、作品とともに並走する妄想と現実。


++++
プライベートと作品は一緒…。堀さんはそんなことを言っていた。

作品はプライベートを先どって妄想するのかもしれない。
作品はもしかして生むのではなくて、生まれるのかもしれない。


update2008/09/25

夜想#ドール

弾丸ツアー

DSC07391.jpg
って

JTBの登録商標だったんだ。

16日の深夜にビスをたって
18日の午後2時に戻ってきた夜想の弾丸ツアー。

堀さんのアトリエから
展覧会用の人形をトランスポート。

スタッフの若手が強行輸送。
ついた人形が梱包から解かれ
展覧会の準備が佳境になる。

堀佳子さん秘蔵の人形。
佳子さん最後の展示だ。販売もされるのでもう二度とお目にかかれなくなる。
夜想にとっても
貴重な邂逅となる。


update2008/08/18

夜想#ドール

ブライスの目は 


雛の里から戻ってみると


東京はすっかり春めいていた。iPhoneのナビで彷徨った末に(現在地の表示があいまい過ぎるよ)ようやくたどり着いたシルク・ドールの店は、かつて80年代に夜想編集部があったフェイスビルの裏のマンションの隣だった。いつのまにか白虎社の東京事務所が隣室に巣くいマンションの二階はけっこう恐ろしいことになっていたが、そこは開発の遅れた、雨が降ると道がどろどろになる不思議な場所だった。360°もあり、ピテカンもあり、カルデサックというカフェバーの走りもあった。
シルク・ドールの窓から強者どもの夢の跡に思いをはせつつ、コルセットやラバー服に囲まれた店を一周すると、雛の里からついてきた座敷童子の少女が白革のメイド服を着てにこにこ笑っていた。また会ったね。

update2008/05/10

夜想#ドール

恋月姫 

08-01-09_16-15.jpg

岩塩のカタコンベの中は思ったよりも涼しく、血を吸われたばかりの少女や少年は
息吹を失った時のまま。

写真集や展覧会の企画が少しずつ前へ。

yasoは恋月姫さんと出会って人形への思いを深化させた。そしてコンセプト・ドールを付帯した特装本yasoを作り、展覧会をいくつもいくつも一緒した。その特装本のなかに入っていた特装本のap版がビスのショップに置いてある。中身はyasoのドールだが美麗な表紙に変わっている。その特装本に恋月姫さんのサインを入れてもらった。

update2008/01/09

夜想#ドール

人形を人のように 山口小夜子

人形を人のように操ろうという
欲を抑制したとき
 いや山口小夜子にはもともと抑制する欲望はないのかもしれないが
人形は人の意図した生命感でない
人形の生命感を顕にする。

不思議な邂逅だった

山口小夜子がナハトの深い森で見つけた
恋月姫の人形は
白い肌をしていた
そして小夜子が抱き上げて
空にかかげる度に
確信者としての不敵な微笑みを
他人には見せない
かんばせの下で見せる
人形はしだいに小夜子の顔を纏い
透明になっていく

人形に名前は
まだ
ない


update2006/12/17

夜想#ドール

人形の身体は

球体間接人形になって
人形の身体は
空洞度が増している。

演劇の身体論が
いまから20年ほど前に
盛んだった頃
身体は中をもった
存在だった。

人形ももちろん存在。
しかし
空洞化している実体をもっている。
それでも人
それでもヒトガタ
それは理屈でなく
ぱっとそう思うのだ。

update2005/10/18