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『アルンハイムの地所』『ランダーの別荘』 エドガー・アラン・ポー
谷崎潤一郎『金色の死』江戸川乱歩『パノラマ島奇談』に大きな影響を与えたと言われている
というか、翻案のネタ元である、ポーの『アルンハイムの地所』『ランダーの別荘』は、これまた非常に面白い位置取りをしている著作で、イギリスのゴシック小説が、アメリカに入るとこうなるのか、という典型であり、ポーを通じて、ハリウッドはゴシック・ロマンスをゴシック・ホラーに変化させていったのだ。
ゴシック小説の『ヴァセック』(ベックフォード)からインスパイアーされていて、特にべックフォードが建てたゴシック建築をモチーフに、それを風景として、庭園として描いたものである。
人口の庭園が完全なのだ、自然はどこか不具合がある。
自然は完全ではない、配置された絵のような自然こそ完全だ。という思想によって書かれている。
『金色の死』谷崎潤一郎の翻案は、金持ちの男が、理想の庭園を造ったという構造だけで、金にあかせて作り上げた庭も、その金にあかせる理由も感覚も異る。
そのずれていく様が、面白いし、翻案したり、インパイアーされながら文学や映画が形成されていったか良く分る。
このずれから時代を覗き込めるのだ。
update2008/05/22