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中井英夫 Ⅱ

中井英夫には『模倣のすすめ』という一文があって
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原作を翻案する感覚は
あまりに日本人的な嗜好と、わかちがたくからみ合っているこが容易に理解できよう。

と、短歌や小説の翻案を日本的な文学の土壌、血的な土壌に寄っていることを
述べている。

三島由紀夫は、日本の大衆小説の殆どは外国ダネだから、盗むなんてのは不思議ではない。まァ一流文学は外国文学を“下敷き”にして二流文学は盗むということだ。

と、言っている。

中井英夫の言いたかったことは、この連綿と続いている日本の血に流れているかのようなDNAを見極めないで、盗作が悪いということは、同じ穴の狢だ、ということだ。

中井英夫は生涯一貫してこの姿勢を貫いている。
寺山修司が登場した時に、俳句からの盗作を指摘されて集中砲火を浴びた時も、短歌という制度の中で飼ってきた翻案ということを論じないで、ただ寺山修司の盗作を非難するのはおかしいという態度をとった。

ここには日本文学の大きな問題が横たわっている。

中井英夫の『虚無への供物』はそのことの逞しい実験にもなっている。

update2008/12/20