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鑞の棺桶
鑞の棺桶はナハトの微熱でしだいに変形していった。
恋月姫さんの人形の柔らかな重みを受けて沈んでいく棺桶の底。
人形は埋もれていく。十年いたら鑞の棺桶と一体化したのだろう。今夜、人形たちはナハトから発掘されてそれぞれの旅路についた。そしてナハトは誰もいなくなった。不在の棺桶。
update2008/05/16
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コックさんが三人並んで
卵白と豆腐をもの凄い勢いでシャッフルする。
交替、じゃぁ次。また交替。一列に並んで、どんどん、どんどんシャッフルしていく。
出身地方が違うのに、みんな仲よし。
台所代わりに使っている中華料理屋さん。ビスにいると行く頻度が尋常じゃない。美味しさも尋常じゃない。値段は安い。
ふわふわの豆腐を揚げた衣の中にまた豆腐とお肉。
うーん。ほんとうに美味しい。
鳳凰が陽から出てくる、というような名前がついている。
もちろん忙しいとできない、賄い料理。
ときどきおまけのプレゼントをくれるのだけれど、オーナーの方がくれる他に、厨房からのこともある。厨房のコックさんは、お店のいろいろに権限をもっていて、力があるんだと、オーナーの人が教えてくれた。
オーナーの人は、少子化政策の関係で日本に来ている中国の人。
update2008/05/16
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熟成年度
谷中を疾走中、お茶を飲みたくなってふらっと『アノマ』に
選んだ雪茶は強かった。
一煎目からがつん、と衝撃。三煎目になっても、まだ暴れている。やんちゃなお茶だ。六煎目あたりで落ち着いたと思ったら、ふくよかで、拡がりのある味になった。あとは十四煎くらいまで安定して、大人な感じ。
星川さんと、お茶の熟成話をしていて、偽物もあるし、なかなか見分けがつかないなど……。お店はもう閉めてしまって、アナログのロックがかかっている。さすが星川さんなので、ジャケットの特殊なものや、ピクチャーレコードまである。
強烈なお茶に酔いはすでに廻り、少々呂律が廻らなくなっている。
エアロ・スミスをリクエストした。フリーも良かった。
熟成の感覚というのがまだまだ身体にはいっていないのかもしれない。少し前に、14ヶ月、24ヶ月というプロシュートを食べて、イタリアでの体験が、ちょっと揺らいだ。生な感じが、若いものだと思っていたらそうではなく、熟成期間が長いとまろやかにそして生っぽくなったりする。
バルサミコも熟成期間でだいぶ味が変わるが、熟成が長いとある時期から、あっさりしてくるような気がする。これも同じ会社の、同じもので比べないと、はっきりしたことは言えない。奥が深い。
パルメジャーノも熟成期間で変わる。チーズ自体も、腐る寸前のものが美味しいということもある。
熟成の感覚をもう少し知りたくなった。
update2008/05/15
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江戸蕎麦ほそ川
チェックするような目つきの
若い人と、グルメだぞ!っという雰囲気を身体一杯に出している中年の人に挟まれて
せいろ蕎麦をすする。まぁdancyuを見て自転車を飛ばしたのだから、他人のことは言えない。一回目なのでなんとも言えないが、食べていて、朧な箱のような形態の記憶が僕にヒットしてくる。その箱は池之端の藪のお蕎麦に対したときの何かに重なる。江戸が透けるというのか……。美味しい。
お代わりをすると別の産地の蕎麦でうったせいろが出てくる。お茶は番茶。いい感じ。
そば湯はこってり、白濁している。もう少しタレを残しておけばよかったな…。
いつもそうだけど、飽きるまで食べて、それが何日分なのか、そしてまた行きたくなるのか。そんな時までは、余り判断も考えることもしない。
update2008/05/13
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プライベーター
浅草はあと少しでお祭りに入る。
季節外れの颱風が近づいて、お祭りだというのに、寒い日が続く。
今日が、展覧会最終日。70人以上の人が見に来てくれた。
ここからいろいろなものが生まれていく。
話をするだけでも何かのきっかけになる。相互に…。
F-1のアグリチームが消滅した。
これからのレギュレーションはプライベーターに厳しい。新たな参画は難しいだろう。
TVのインタビューで他のチームのオーナーがよくやった…みたいなことを言っている。
追いだそうとしたくせに。
ベルガーのコメントがもっともまともだった。
思えばペヨトル工房も夜想もプライベーターだ。
2000年に一度、撤退している。
復帰は難しいと思ったが、どうにか戻ってきた。
愚痴にならないように言うが、辞めると惜しまれる。助けたのにと言われる。やっているときは、辞めると言っても無関心だ。それが現実。惜しまれて辞めて復活しても、別にサポートがもらえるわけではない。辞めた時の方が関心は高い。うまく言えないが、メジャーのブランドと結果が良いものが好きなようだ。
日本でのプライベーターの存続はなかなか難しい。アグリチームに大企業はサポートしないもの。サポートには広告効果という計算しかないんだろう。おそらく。
意志をさらに強くもってプライベーターとして存続していこうと思う。
そしてワークスに負けない、面白いレースをしたいと思う。立っているだけじゃ駄目だ。
update2008/05/13
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先生は?
あ、今日は打ち合わせではないんです…。
元ペヨトル工房があったビルに入っている「セリーヌ」という喫茶店。
丸尾末広さんと打ち合わせするときはここでする。丸尾末広さんはここで先生と呼ばれているようだ。
一人で本を読むのにも大分慣れてきた。
5時で閉店なので、河岸を代える。
最近、ブルマン飲まないじゃないの?
店長さんに言われる。濃いんだったら薄く入れるよ。
いや、そういうんじゃなくて、ここに来た時に何杯目のコーヒーかということで、ちょっと注文が変わることもあるの…。
ふーん。と、コーヒーについて話し込む店長さん。
う、明日までの仕事が…。
しばらくすると下に消えた
かと思うとふっと現れて、はい、とコーヒーを置いていった。
泡立っているし。??? ブレンドでない、メニューにないの?
飲んで資料を読み終えて、ビスに自転車で走る。
update2008/05/09
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ものを大切にしていると
良いことがありますよ、ふふ。
自転車乗りの作家はそう言ってくれた。
ミゼリコルディアの展示を見ながら
人形は身体を抜いて視線を放つ。
修道院の食堂。
などと話をしているときにたまたま自転車の話になって…自転車どうしているの?
部品が一つ、また一つ、壊れていって、今ではばらばらになりそうですよ…。
でも大切にしているのは良いですよ。
話は支離滅裂に、そして人形の不思議について…。
その後、
夕方に銀座逍遥をしたときに後ろのタイヤが変だなと思っていたら、スローパンクチャー。空気がだんだん抜けていく。空気を入れたら、すこんすこんで入っていかない。パンク? バルブ?
自転車屋さんへ行ったら、チューブの全取っ換え、おお、ほんとに自転車がぼろぼろと壊れていく感じ。でも愛おしいかも。直して、また走る。
update2008/05/09