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2008/11/04

摂取する

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ふと思ってしまったことなのだけれど

他の人が作ったものを身体に入れるのは
けっこう大変なことなのではないだろうかと。
+
こんな時代だから出された食べ物に何が混入しているか分からない。それをぱっと口にできるというのは、信頼関係と、そこから発生する身体の交流がないとできないことだ。
++
まして食べて嬉しいという感情が出てくるのは大変なことだ。
身体に入るとものは何かの波動を起す。おそらくその波動を形成するのが、食べ合わせだったり、相性だったりするのだと思う。
+++
『夜想』も流通の中で売れる/売れないということを気にする雑誌であるよりも、摂取される食物のような存在でありたいと思う。理想的には…。
++++
もちろん拒否反応があっても良いと思う。でもそうした反応を起す存在でありたいし、できたら快楽や快感の方にゲージが振れていたら嬉しいなと思う。


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2008/11/02

ヴィクトリア展オープン

壮観な風景だった。
丸尾末広さん、山本タカトさん、七戸優さん、トレヴァー・ブラウンさん、パトリックさん、高木由利子さん…たくさんの作家さんたちが、bisで歓談する様は。
+
それぞれにまた『夜想』に参加してくれそうで嬉しい。新たに何かが動いていくというのはとても充実感のあることだ。
++
時代が変化していくときにそこに居ると、変化が激しくてもなかなか認知できないものだ。しかし変化は大きく時代を変えている。その時代に創作に関連して夜想やbisを運営できているのはとても幸運なことだ。そう思う。
+++
心を開かず、コミュニケーションをとっているふりをする…ダークなものをもっていても面に少しも見せず、ある一定量が増えてゲージを越えるとブスリと行く…そんな悪意と不信が蔓延しているなかで、何かを作るという行為は、それを通じてコミュニケーションを可能にする大事なメディアになっている。巧くできているとはまだまだ言えないが、それでも交流するきっかけにはなっていく。そこに何があろうとも畏れず行ってみようとする可能性を喚起する大事な道具になっている。表現は、表現そのものも大事だけれど、それを行っていく様々な関係性もさらに大事なものである。
オープニングで話をしながらそんなことを実感した。

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2008/11/01

はじまる。ぞ!

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まだセットが終わらない。

ショウインドウをセットして
あとは…と。

コナン・ドイルが所有していた
心霊写真。まさにドイルがもっていたもの、そのものを成山画廊からお借りしてきた。

ドイルは富山太佳夫の研究に詳しいが、変に面白い人だ。帝国主義者だし、それでいて心霊写真を本気で信じたり。

富山太佳夫さんは、ヴィクトリアン期のイギリス文学・文化のスペシャリストだが
ヴィクトリアンの男って、ふう。僕はこの研究に一生をかけていたのか。ふう。というようなところがあって素敵だ。英国好きは、まさに英国人らしくなる傾向がある。のめって英国が最高という自画自賛系になる。でも富山さんは好きは好き、だけど…という客観的な視点があって、素晴らしい。

そのドイルの心霊写真のめり込みを証拠立てる逸品。いろんな意味でヴィクトリアンをリアルにしのばせる。さすが成山さんコレクションは凄いや。

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2008/11/01

ヴィクトリアン展

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マスキング・テープで

位置を決めながら
額を壁に設置していく。


+
今日、利下げがあったが
もし利下げがなかったらまた世界中で暴落だった。
今、一瞬の安心感は、
日経新聞の利下げ観測記事だ。それを見てアメリカがアップして、世界に拡がった。
利下げを確実にするためにプレッシャーをかけたのは
どんな勢力だったのだろう。
なんか麻生さんじゃない気がするけど。
アメリカの意志かもしれない。
でも珍しく日本の記事で株価が動いた。
円の独歩高が影響しているのだろう。
しかし日本が消去法で良いと言うのも陰謀なような気がする。
++
途方もなく暗い時代が訪れるのか
そこそこで止まるのか。
分らない。きっと誰にも分らない。
たとえばSONYや三菱銀行が立ち行かなくなるような
ほんの少し前ならまったく想像もつかなかったことが
起きるかもしれない。
その時は、果てしなくヴィクトリアンな雰囲気になるだろう。
+++
しかし経済が破綻していても
ヴィクトリアン期は、文化や科学の輝かしい創成期であった。
そんな時代に思いを駆せながら…次の1000年の原点になる創作が今生まれてくるのだ
という現在の期待もある。
昏さを糧に
面白がれるか
そんなところがポイントかもしれない。
++++
それにしてもティファニーは銀座店をリニューアルして
きんきらきんにした。
ゴールドマン・サックスにビルを高く売って今は店子になっている
本社ビルさえ売ることを辞さないティファニーの財務戦略が
日本での攻めを決めたのだから
意外にも復活はあるかもしれない。日本。
でもこのきんきらきんは。
不況でもヴィクトリアンのほうがずっとずっと素敵だ。


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2008/10/31

カフェ・ポッド

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飲み比べている。


ムセッティは試した中では一番美味しい。残念ながらセガのポッドよりも美味しかった。もちろんマシンとの相性もあるだろうけど。Amazonが最安値。ちょっとなのもまいってしまう。ムセッティは、2種類試したけれど、エボリューションの装幀のカッコ良さに惹かれたのだけれど、クレミッシモのクレマに入る感じがお気に入り。エボリューションの苦味は家庭用のマシンではすっと回らない感じ。


使っているマシンは、フランシスフランシス



このマシンの一つ世代の前のもの。
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メーターに顔がついていて可愛い。


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2008/10/30

アネット・メサジェ

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最も印象に残った

アネット・メサジェ作品との出会いは、
『LA BEAUTE』(アヴィニヨン/2000年5月27日~10月1日)での展示だった。
最近、国際展に行っていないので、ずいぶん前の記憶になる。

あの頃、女性作家がかなり国際展の全面に出てきていたような印象がある。『LA BEAUTE』では、ナン・ゴールディンが映像投射のカッコ良い作品を出していた。

肌が脳を持つ。腸が考える。
そんなことをずっと考えている。脳科学が流行っているけれど、どうも肌合いとか、皮膚とかが思考して、ふっと情動のように決めていることがたくさんあるような気がする。

男の肌はでこぼこやごつごつという硬いものに反応するのに長けていて、女性の肌はふかふか、もこもこ、ふわふわに良く反応する…らしい。

ロジックがあって、しっかりとした構造があって、コンセプトを使って…という男性的な現代美術ではない、肌合いを共感する、ディテールから全体が組み上げられる作品が、アネット・メサジェだ。

始めのうちは美術じゃないって言われて苦労したのよとインタビューで言っていた。

理解するのではなく、共感や共振から作品に入っていくんだろうな…と森美術館の作品を見ながら改めて思った。


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2008/10/27

え? やっぱりゴルゴ

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デラソーレのカップチーノ。横山千尋の店。





絵は巧い。味は好みとは違う。それぞれ。

ところでローゼン閣下の愛読漫画を予想して書いたら、ローゼン閣下、昨日、秋葉原で弘兼憲史(『社長島耕作』)とさいとう・たかを(『ゴルゴ13』)とトークショウをしたらしい。駄目だあ~。この顔合わせを秋葉原でやるなんて。引かれるぞ。

調べてみたら、ダカーポに載っている閣下の愛読漫画は以下のとおり。

1位 『ゴルゴ13』
2位 『勇午』
3位 『風の大地』
4位 『インパクト』
5位 『なんと孫六』
6位 『ジパング』
7位 『日本国大統領 桜坂満太郎』
8位 『サラリーマン金太郎』
9位 『黄昏流星群』
10位『蒼天航路』

バールでアイフォンで検索した友人が教えてくれた。

ちなみに『Rozen Maiden 新装版7 初回限定版 ~ PEACH-PIT』のboxは凄い。

デザインに趣向が凝らしてある。箱というとぐっとくる私としては、たまらん。
あけると…!っという感じ。
麻生さんが「Rozen Maiden 新装版・初回限定版」box予約しましたとか言ったらネタ的には凄いのに。見抜くつかむというのは、勝負師には大事なこと。今、金融という博打場が崩壊してとっちらかている時に、いち早く見抜いた政治家が国を救う。見抜くは大事。羽生もそういっている。

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2008/10/25

Amazonに『yasoヴィクトリアン』

は、まだないんです。

Amazonは姿を変えようとしている。もちろんAmazonの発表によればだ。
書籍を全点揃え脱取次化して、さらに取次自体を機能をもとうとしている。出版社やソフトメーカーと直接取引をし、巨大物流センターを利用して、販売委託を仕事にしようとすらしている。

ほとんどの本を在庫すると豪語しているけれど、yasoは流通に出荷されても、まだ登録されていない。(25日の段階)もう2週間はたっているなぁ。前回、ヴァンパイアも登録が凄く遅かった。連絡してアピールしても全然、応対してくれない。予約で載っている本もあるのに。で、載ったと思ったら在庫3冊を売り切って品切れ提示。

Amazonを検索代わりに使っている人もいるだろうから、おや? もう売り切れ!と諦める方もいるかもしれない。全部あると宣伝しているのだから、検索してない本は、ないと思われてしまう。きつい。

仕方がないので自分でマーケットプレイスに出して売った。50冊も売った頃に、売れていることに気がついたのかAmazonが新刊を補充。出版からもう数ヶ月がたっていた。売れるならのせる売れないなら無視。これはAmazonの基本姿勢なのだから、最近の宣伝はちょっとまずいでしょう。(零細出版社にとって)。Amazonは全網羅的なことをうたっているけど、そのうたっていること自体が小出版社にはきつい。yasoは、Amazonに直接取引きを交渉したがそれも断られている。

取次はもともとお役所的な姿勢があったけれど、今度は代わってAmazonが大手取次の代わりをして切り捨て業務を行っている。今やAmazonはエスプレッソのボッドも買えるし、デパートになったヨドバシの様だ。その中で行われているのは商品の絞り込みだ。ヨドバシでも売れるアップス製品しか置いていない。同じくAmazonもそうなるだろう。が、問題なのは売れるものまでカットしてしまうことだ。大手の売れるものは見逃さないが、小出版の売れるものはしっかり見逃してくれる。全部あるよと思わせて、売れ筋商品に目を向けさせて効率を上げるというのが、メガ商店の手法だ。商法はいいけど嘘は言うなよ。

有名どころのネットショップにはyasoヴィクトリアン、すべて登録されて稼働している。



Amazonはデパートになっていて、本は主力ではなくなってしまっているのかも。
興味も含めて。


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2008/10/24

ローゼン閣下 やめて!

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麻生首相が住宅ローン減税を打ち出したけれど、これは今まで借りてきた人の救済というよりは、今売れ残っているバブル時代のマンションを買ってあげてくださいという、ファンド絡みの不動産会社への救済が目的だ。今、払い続けている人の住宅ローンにはもともと減税措置が咬ませてあるから、さらにこの減税措置を適応するには、かなり厳しい条件をクリアしないといけない。相変わらずの不動産、金融行政だ。

++
今夜、グリーンスパーン議長が、自分がとってきた金融政策が誤っていたかもと、謝っていた。議会で諮問されるんだね。日本で議会が前回のバブルの原因を諮問するということはないだろうからね。グリーンスパーンは、住宅ローンを結果、煽ったのがいけないと言っているが、日本では、今更、住宅ローンをサポートしようとしている。どういうこと? 議会は今、竹中平蔵に質問をしないといけない。金融国家を作ろうとしていたあなたの考えはただしかったのですか?と。テレビでも田原総一朗は竹中平蔵を追いつめられないだろうな…。
金融中心の経済が崩壊したのだから、もの作り…しかも売れるもの作りをサポートしないといけないのに、ローゼン閣下はやっぱりずれている。もの作りも今やバロックになってしまっているものは後退していくだろう。高機能に成りすぎたテレビとか携帯電話とかね。作り手が満足する機能ではなく、買い手が満足する機能が求められている。こんな時こそ、秋葉系のソフト産業をさらに育成するとか、アニメ業界の労働者をサポートするとか言ったら良いのに。ローゼン閣下なら。
+++
秋葉新派の麻生と自ら売っているが、秋葉系に本当に指示されているわけじゃない。テレビに映ったりするから取材カメラに群がったりするだけのことだ。首相指名のときにテレビ局が秋葉にサテライトスタジオを作って、喜ぶアニオタを待ちかまえていたら、誰もこないという図があったが、当たり前のことだ。秋葉が好きだという戦略をとった麻生をどうイメージするかという戦略なのだから。
麻生首相の秘書が強者で『ローゼンメイデン』を掲げさせたりしているが、麻生失速と一緒にローゼンが失速したりしたら許さないぞ! ローゼン閣下、麻生さん、お願いだから足を引っ張らないでね。ゴルゴ13や島耕作読んでいる人が『ローゼンメイデン』を理解できるはずがない。もし分っているならクラッシュ(壊れて)している人なんていないんだから頑張ろうとか言ってみたら良いと思うだけど。そうでしょ。生きていくことの期待値が低く成りすぎてマイナスになっていることが今の実情なんだから。

+++++ 
リーマンが消滅して、アメリカ政府と仲が良いゴールドマンサックスとモルガンスタンレーが残った。ポールソン財務長官はゴールドマンサックスの出身だ。リーマンの代表は14年間の給与総計が500億にのぼるそうだから、ゲームをあてて引退するゲームデザイナーよりはるかに気分は楽だ。問題なのは、残った金融システムの傷痕だ。
日本はというと、そんなことお構いなしに、空白の十年にファンドに買われまくった怨みを、今晴らそうとしているのだろうか、東京三菱UFJが米モルガン・スタンレーを買いに出た。時代錯誤でしょう。金融という博打が今破綻している時に、モルガンを手に入れるなんて。バブルの時にビルを買って後で10分の1で買い戻される(絵画もいっしょだけど)あの手法にそっくりだ。
きっとアメリカに頼まれて、救済するのだろう。(もちろん政府経由)被害が出たら、日本の税金で埋める。直接は手がでないが東京三菱UFJ経由ならOKだ。
ちなみにティファニーの不動産部門は誰が運営しているのだろう。ティファニーは銀座に165億で獲得したビルと土地を2007年8月に370億でゴールドマンに売却していた。ティファニーは前回のバブルの時に本社ビルを第一不動産に売却して、安く買い戻している。ティファニーの不動産の動きは前から注目したけれど、今回も察知しているかのような見事な売買だ。

++++
竹中平蔵の著作を読むと、日本人にはインセンティブがなさすぎる、アメリカの豊かな住宅事情をみて頑張ろうという気にならないのか、と煽っていたが…つまるところ日本を金融中心の国家に変革しようとした。リーマンの資金を使っていたライブドアに対してバッシングが始ったのは、小泉、竹中路線が終了したからでもあるだろう。まぁ結果として良かったのかもしれない。リーマンの資金で押さえた放送局が今どうなっているか、ぞっとするところもある。

歴史的にみると、金融中心の経済が破綻するのは世界的な規模では3回目。一回目は、yasoで特集したヴィクトリアン期のヴィクトリアン循環。もういいかげんにして欲しい。なのに麻生太郎はまだ金融関係を救おうとしている。社長まで上り詰めた島耕作というマクロからしか見れない人に、今の日本は救えない。マクロとミクロ、上からのディレクションと、地べたのディーテール。両方みれないと今の危機は脱出できない。願わくば麻生太郎に、ティファニーのセンスが欲しい。


を読むと、竹中平蔵のいかに今、破綻した金融社会というものを導入したがっていたかが分る。買っちゃいけない図書館で。



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2008/10/22

失速気味のyaso?!

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+
ネットの力は思った以上に威力があって、しかもそれがストレートではなく、曲がって印象的に伝わるものだから困ってしまうことがある。
たとえば、どこに食べに行くと聞かれて、最近、あそこのご飯は今一つになったから…と答えたのをそのまま実名で、書かれたりするとかなり大きな影響がでるし、個人的にその人と友だちだったりするので、大変困ったりもする。しかもブログをそのままに本にしたりすることも流行っているので、どうもなぁ…と思う。

++
それがアマチュアならまだしも、その道のプロの人だったり、人が信用しやすい(そうである世の中は困ったものなのだけれど)賞の受賞者だだったりすると…けっこう騒動になる。そしてさらに悪いのは書き手が褒めているつもりだったりする時だ。悪意の手によって書かれたものは、そう受け止められるが、そうでないとき書かれたことはすとんと人に伝わる。書いた人の解釈や感想込みで。

+++
最近、三月書房のメルマガに
「yaso#ヴィクトリアン」ステュディオ・パラボリカ
この号はどうしたことかまだほとんど売れてません。いつも同様に、200名ほど登録されているペヨトル客のアドレスに案内を送信したのに事前予約が数名しかありませんでした。「#ゴス」や「#ドール」や「#耽美」は予約だけで数十名、通算では軽く100冊を越えたのですが、前号の「#ドラキュラ」あたりから失速気味です。
と、書かれて配信されてしまった。結果、ネガティブ・キャンぺーになるので、まいったなぁと思う。あ、そうかもう売れていないんだ。思って買わなくなる人がでるだろう。行列の並ぶ店に並ぶ習慣は持ち合わせていないので、人の評判を気にするわけではないのだが、ネットの風評は威力がある。最近、yasoには人が並んでないのよ、最近はちょっとね…というのは止めて欲しい。事実なら良いけれど。
前回の「#ヴァンパイア」の時も似たことをメールに書かれたけれど、失速は、三月書房の中でのことで、事実は三月書房においてのみだ。「#ヴァンパイア」は元気に売り上げていて、「#耽美」の勢いには少し及ばないものの、そろそろ初回の分を売り切って増刷にでも、というところまで来ている。失速とは失礼な。


++++
三月書房さんに前回書かれて、みんなスタッフががっかりして暗くなり、大丈夫でしょうかと動揺したのを覚えている。売れないと言われたことをかなり長いこと気にして、今回も、ああ、まただ…とまた全員ががっかりした。言われただけならまだしも、それを配信するなんて、それを見たyasoのファンの人もきっとがっかりするに違いない。三月書房の200名のyaso客の方々も同じような気分になり、きっと面白くなくなったんだろうと思うに違いない。前回ネガティブキャンペーンをされた後に、ファンはそこから本を買うだろうか?

以前、三月書房の内々に教えてくれている辛口の売れ行き評は、面白く参考にしていた。そしてそれを頼りに思っていたところもあり、そうブログに書いたこともある。本は書店の人の意気込みで売れるものだし、実際、書店でyasoを面倒見てくれる人がいなくなるとそれまで大規模に売っていても売れなくなる。良くする話だが、新宿のレコード店だ。ネガティブな話がむしろ内容に関してならかえって良かったかも知れない。受け止める方は、しっかりと判断するから。自分も含めて認知というものは、フレームワークだ。三月書房は良い本を揃えている、そこで売れないと言われたら、良い本ではないのだという無意識の連想が走る。ただでさえ販売が難しくなっているのだからネガティブな風評を流されるのは、本当に困る。三月書房の売れる本リストは、その本をもっと売るためのキャンペーンで、逆のことをされたらどうなるか…。

+++++
本への辛口の評は、合っているということにおいて意味があって…しかもただ売れた、売れないというのではなく、内容と絡めて売れた売れないということが問題になるのが、本への辛口というものだ。良い本を作っているとえばって言っているわけではなくて、本を売るということにおいても相応しく内容を伝えてこその本だと考えているからだ。大体、良い本なんてなかなかできるものではないし、毎回、編集はどきどきしながら、一生懸命作り、そして宣伝をしたり展覧会をしたりして内容の伝達に努めるのが精いっぱいだ。いま本は内容をもって書店から発信してもらわないと売れない。流行本以外はそのままでは売れない時代になったのだ。(流行本ももの凄いキャンペーンしているけどね)

+++++
だいたいyasoの前号の特集名は「#ドラキュラ」じゃなくて「#ヴァンパイア」ですから…。その差がどんなものなのかを特集したもので、まぁ三月書房にとっては、その差はどうでも良くて結果、売れるということが興味になってきているのかもしれない。出版一週間で早々に売れないようだと見切られる「yaso#ヴィクトリアン」もちょっと可愛そうと言えば可愛そうだ。内容が駄目だと言われる方がまだましだ。今、本は、売れなくても長く頑張って伝えていって帳尻を合わせるしか道がない。

そうか…今、気がついたけれど、良い本をしっかりと棚揃えしている三月書房にとっては、売れそうもないという言い方で、売り続ける努力をするに値しない内容の本だということを世間に知らしめようとしたのかもしれない。それなら愛の鞭ということで甘んじて受け止める他ないな。






yaso「ヴァンパイア」は、倉庫がほぼ空になるのでしばらく品切れになります。ネットショップの在庫をお早めにどうぞ。


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2008/10/21

桂米團治襲名

桂小米朝の桂米團治襲名披露を聞きに新橋演舞場に。ちなみに先日ストーカー事件を起した、月亭可朝が一時期桂小米朝を名のっていた。
なので襲名披露の口上でしきりに月亭可朝がネタになっていた。
落語にはまる、二つぐらい以前の状態で右も左も分らない。
でも襲名披露に桂春團治さんが出られると聞いて切符を分けてもらった。なぜか桃色を思わせる艶があって…落語で艶を語ると意外とエロに寄っていくのだが、春團治さんの艶はふわふわしていて頼りない。それがとても良い。枕もなしで入るのだがいきなりという感じがしないで、ふっと入るという粋な話っぷり。最後に春團治さんが手を締めたが、もう言いようのない間があって腰砕け。
+
桂一門、どちらかという肩透かし系だと思うが、米團治さんも一門ののんびりした風を持っている。しかし直球も投げれるよという若さもある。直球を顔の辺りに投げたりする人が多いが、米團治は真ん中のストライクを投げて見せる。うーん。坊ちゃんの良さだなぁ。
++
終わってみんなとご飯を食べていたら、昔、ボクの歌舞伎入門時にいろいろ教えてくれた人がいて、え、今度は落語なの? いやいやたまたまです。そちらこそ落語なんですか?と聞けば、ほんとはジャニーズだって。う、凄い。
 


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2008/10/19

紙モノカタログ 倉敷意匠

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マスキング・テープ

は、もちろんだけれど、封筒…いろいろ

今、自分が使っている感じの、もう一つ先な感じ。

紙の少し擦れた使用感を付加した感覚。

コンセプトではなく使用感。いつもという常態。

倉敷意匠はデザインに優れているが、地に足がついている。

もう駄目な視線を気にせず、駄目なものの行く末に興味をもたず
自分の見る感覚を大切に生きてみたら…と言われた。
さもありなん。
もっともっと良く見ていきたいと思う。そして動向を気にせず。

http://www.classiky.co.jp/



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2008/10/18

yasoのトーン

もともと夜想はジャンルなしで作っていた。どんな特集でもできるような形態をと思っていたことがある。yasoになってからはさらに自由になったかもしれない。
自由になったのは、テーマをとらえる手法とトーンだろう。これでなければというとこがなくなった。もちろん何でも良いというのではない。

ヴィクトリアンを手にした慶応大学の友人の教授が改めて、yasoってアカデミックだなとしきりに独り言を言っていた。
かと思えばネットの一言のコーナーで今回のyasoはビレバンっぽい表紙だから買うの止めようと書かれていた。ビレバンって??
分った、ビレッジバンガード風ということね。サブカルっぽいということかな…? 確かに最近、ビレッジバンガードでも売れている。

全体のトーンはなかなかコントロールができないので、それぞれの印象は合っていると思う。

サブカルもアカデミックも以前から比べると位相が変化している。

yasoはその位相をつかみ取れているか。
追随するのではなくその位相を見れるか。
そして何かを反映できるか。
そんなことを考えている。

でも印象がいろいろなのは嬉しい。


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2008/10/17

セガのポッド

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ポッドならどうなる。

セガでエスプレッソの缶入りの粉を買おうとしたら。
ないです。

代わりに新発売のポッドが売ってあった。
買ってみる。

++
いつの間にかポッドが流行になっているのだろうか。
それなら手に入りやすいだろうから、各、メーカーのものを比べてみよう。



まずは、セガフレードを味わい尽くそう。

一週間に4~5回はセガフレードで本を読んでいる。
そして銀座方面に走れば必ず日本橋・イリーで…
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イリーはプリペイド・カード。10%オフ。
セガはポイントをためて5%オフ。でもカードが次の段階に行くには500回店を訪れる必要がある。ちょっとカードの楽しみとしては敷居が高い。

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2008/10/17

8 1/2 はちとにぶんのいち

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久しぶりにヘア・カットに。

いつも髪をブリーチしてくれる青年が
「気合いを入れて白のTシャツにしたんですよ。」と話しかけてくる。
僕も上下白の服を来ていた。ぴったりだね。
最近は、周囲のネガティブなこと少しで、気合いが落ちたりする。少々トラブルがあっても突き進んでいた頃とはさすがに感覚がことなる。だから期待していない周りの高いテンションやちょっとした思いやりは、自分の身体をはっと元気にさせる。嬉しいものだ。よしまた頑張るかという気になる。意味なんかないんだけど。食べ物の快感が身体を震わすのに似ている。理屈じゃない。

++
ずっと神宮前の8 1/2(エイト&ハーフ)という美容室に通っている。先日、向かいのギャラリーにいるのを見つかって、向こうから手を振られた。そのときに今日の予約をした。六ヶ月に一回というペースだけど、もうだいぶになる。タケナミさんのカットが好きだから。ブリーチもうまい。こんなに長いことお気に入りは珍しい。

+++
青山から神宮前にかけては美容室の激戦区。30年も前に行きはじめた、アレス、その後の連獅子、その後のモッズ・ヘァ。アレスでは弁髪に、連獅子ではエメラルドグリーンに、モッズ・ヘアではブリーチに失敗。アンアンを見てエイト&ハーフに移った。ブリーチとカラーが良さそうだったから。今日は髪の毛がプラチナで真っ白になった。なんかみんな一生懸命やってくれる。髪の毛とか頭とかは他人に触らせない部位なので、感覚が手からダイレクトに伝わってくる。

++++
最近、皮膚とか腸の思考とかに凝っている。だから余計にそう思う。

会社の管理人さんが、一時休んで前の管理人さんが来た。自転車の置き位置にうるさかったり、ちょっと照明をつけたまま買い物に行くと、怒られたりしていた。なんか相性が悪くなったな…といつもより丁寧に挨拶をしてみたんだけど、無視。うーん。困ったなと、愚痴をこぼしたりしていた。今日、死亡の知らせを聞いた。末期癌だったとのこと。最後に職場に戻りたかったんだな…。知らなかったこととはいえ、コミュニケーションは難しい。皮膚感覚として分りたかった。


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2008/10/16

柳美里が

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長塚圭史の特集をめぐって

柳美里が『en-taxi』の編集を降りたというのを最近、知った。

++
『文学界』でも長塚圭史の特集をやっていて長塚はトレンドの演劇人だ。
でも『ドラクル』の脚本・演出が嫌なので
その特集をしている『文学界』は遠慮していた。
今、買おうとしたらない。早いなバックナンバーを枯渇させるのが。

ついでに岩波書店の『科学』皮膚特集を探したら
これもない。
2006年の雑誌は市場にもうないのか…。

+++
桃園会の深津篤史も好きだし、ペニノ劇団のタニノロクロウも好きだ。
タニノクロウはちょっと異常な人たちから向こうにある日常を描いて見せる。
普通は逆。日常を描いて、そこに異常を挿入する。
でもタニノクロウの描く、日常は、今、ここにある日常のように異常な相をもっている。
そのあたりが面白い。

長塚圭史は…って?
うーん。


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2008/10/16

近代能楽集 深津篤史

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芝居を見て集合に遅れた茶番頭が、押っ取り刀で駆けつけると、もう14煎までいっていると…。おや、番頭いらずです。
演劇見て遅れたと詫び。何をと聞かれたので、三島由紀夫『近代能楽集・弱法師』を深津篤史の演出で見てきたと答える。あ、桃園会の深津さん…とパフレットを見ながら、初めて会う女性の編集者が「小劇場が面白いって連れられて行ったんですけど、なんかきんきんするような声と演技になじめなくて、でも桃園会は面白くてかよってます」とのこと。
+
新しい『雪片鳳凰単』を用意してもらいながら、「テンションを上げさせない演出は面白いですよね。盛り下がるというか…でも三島由紀夫の考えているあるいは、時代としてもっている近代という概念が浮き彫りになっていてびっくりしました。で、深津篤史は三島の近代性が好きじゃないですよね…。そこから変わるべきものとして今の演劇をとらえているような気がする」と、一気に話して、茶海に湯を充たした。前回の新国立劇場の企画、岸田國士の『動員挿話』を深津篤史が演出したのも面白かった。おそらく岸田國士には何かの融和感をもっていると思う。

++
新劇も小劇場もそれぞれの独特の台詞回しと演技のテンションをもっている。その根元は演劇が近代化を果たした頃まで遡れる。新劇、アングラ、小劇場…。もちろん歌舞伎だって新派だって独特の台詞回しだ。その回し方に時代時代が反映されている。
演劇は、歌舞伎、新派、新劇…と次々にカウンターをかけながら変化してきた。小劇場以降、まだ名前のつくような流れが出てきていないと思ったが、ようやく新しい世代が台頭してきたように思う。何と呼ばれているのかちょっと分らないが。
普通さ、日常性…そんな自然さのある演技で不条理な世界観を描いている。しかしその不条理な世界観とは、現実に生きている時に見え隠れする体験したことのあるような不条理のような気もする。

+++
三島由紀夫の近代性。なんとなく最近、気になっている。それは谷崎潤一郎などの絡みからも気になる。ここを解かないと現代の意欲的な小説や戯曲の評価ができないのではと思ってみたりもする。深津篤史の演出は、結果として三島由紀夫のもっている、ちょっと奇形な近代性が伺える。三島由紀夫は、存在していない階級というものに憧れ、その階級の頂点に君臨したがった。君臨したいのだが、その政治とか経済とか身分とかに守られているはずの階級を、一気にひっくり返す粗野な肉体、卑しい感覚というものに畏敬した。卑しめられる自らを想像して打ち震えた。階級に対する優越感と劣等感、その交錯する変態性が三島であり、三島の近代なのだ。

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2008/10/10

金融恐慌

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ヴィクトリア女王が即位する少し前、イギリスは産業革命によって世界の派遣を握り、世界の工場と呼ばれるようになった。イギリスはその余勢をかって軍事を増強し植民地を次々と作り上げた。そしてポンドで世界を支配するにいたった。ポンドという金融的力が頂点にまで達したところで、輸出が停滞し、イギリスはそこから世界を金融的に支配する国に転換することになった。19世紀末から20世紀にかけては、イギリスは金融大国として世界に君臨した。もの作りから金融へ。第一次世界大戦後、金融の中心はイギリスからアメリカへ移り、イギリスは財政赤字に苦しむことになる。


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似てないか? もの作りから金融へシフトした国の運命と。アメリカは、今回のバブルで以前にもましてもの作りが後退させた。アメリカの自動車製造の衰退がそれを顕著に示している。今日のGMの株価は20%を超える下落をして1950年の株価になった。ビック・スリーという言い方はアメリカではもうしていない。問題だったのは、ローンを債券化するような証券の証券化のような金融的商品をたくさん作り出してしまったことだ。不動産バブルは、根底のところに不動産がある。動かないものがある。サブプライム問題は、低所得者層に無理やり不動産を売ったということもあるが、それだけだったら、不動産が残っているのでどうにか処理できるし、問題も見えている。ローンを商品にしたのがこんな世界の大迷惑に発展した原因だ。しかもその証券は構造的に破綻が見ていた。にも係わらず高い格付けがされていた。

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ヴィクトリア女王が即位したのは1837年。その後、すぐに飢餓の40年代に突入して、倫敦でも子供たちが飢餓に陥り、大人に成るまでにたくさんの子供たちが死んでいった。少女(実際には幼女)売春禁止の法律ができるほどで、子供たち、そして女の人には本当に生き難い時代であった。格差社会なので、もちろん華やかな生活をしていた女性もたくさんいて、それがヴィクトリアンのイメージを優雅なものにしている。格差の有様はどうも日本に似ていて、現在、破綻しつつあるアメリカの格差からは、ダークな下層社会とそれにともなう犯罪の発生が想像できない。ビクトリア朝の壊れ方は、現在のアメリカに似ているが、社会構造と暗部感覚は、むしろ日本に似ている感じがする。

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おそらくアメリカの金融破綻に端を発したこの金融恐慌は世紀に一度のクラッシュである。クラッシュの後に世界がどうなるのか? それはまったく未知である。経済評論家はヤバイ! といは言うけれど姿を想像することはできない。普通に考えられるのは、今、あるネガティブな要素がそのベクトルでいっそうネガティブになるということだ。犯罪はいっそう陰湿にそして理由をもたなくなるだろう。隙間をより姑息に抜けてる試みがなされるだろうが、隙間というのはしっかりしたものがあっての隙間である。隙間自体が見いだせなくなるという可能性もある。姑息が自棄になってもっと困った感じが蔓延するかもしれない。その中でどう生きていくのかというのは、ただならないことであると思う。『夜想』は生存できるのか?そんな身近なことで済まない事態がすぐ目の前まで迫っている感じがある。

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editors talk

2008/10/04

時間の破片 - Fragments of Time

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時の破片
僕は5時間半、
時を砕かれ続けた
光の錯乱に同居する。

光の錯乱の中にいる 勅使川原三郎
光の錯乱を起す勅使川原三郎。

受動と能動が交錯する、行為。

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editors talk

2008/09/25

堀佳子の最後の話

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9月23日、展覧会最終日

今日から、堀佳子さん名前を変える。
最後の日。

トークショウは雑誌『S』の天野さんと堀さん

ポイントができると
そこから人形が立ち上がっていく。

そういうでき上がり方も
ある、んだ。あるなぁ…。

今は作っている最中、作っていることに記憶はない。
そうだろうなぁ。


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対談が終わって
人形作家志望の子が天野さんをつかまえていろいろ言っている。声が切れ切れに聞えてくる。
球体関節人形の流行はもう終わっていますよね。
…どうしたら…良いか。

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原稿料の為に書いているなんて言わなきゃ良いのに…。
贅沢生活のイメージが…。
ところで本を出すのはどうやって売り込んだら良いんですか?
あんなどうしようもない人のがでて、どうして私のが出せないんですか?

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小説家の言葉は生活の本音ではないだろう。妄想を突っ走りながら、ふっと、客観のような視点をさくっと入れ、そしてまた妄想に入っていく。
妄想には、ある種の起きるトーンとうねりがあり、現実から紙一重のところから離陸する。
トーンと起きるパターンの固有性が作家性でもある。

どう売り込み、どう作家になるかじゃなくて
作品をどう生み出すか…
それも越えて、作品とともに並走する妄想と現実。


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プライベートと作品は一緒…。堀さんはそんなことを言っていた。

作品はプライベートを先どって妄想するのかもしれない。
作品はもしかして生むのではなくて、生まれるのかもしれない。


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